観察席の死角 9タイプを書き終えた40代管理職が、最後に"自分"を観察した(エニアグラム タイプ5)

(更新: ) 著者: ナギ
#エニアグラム #タイプ5 #観察する人 #40代管理職 #自己理解 #外軸 #9タイプ取説連載
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観察席の死角|9タイプを書き終えた40代管理職が、最後に"自分"を観察した(エニアグラム タイプ5)

人のことは、結構見えている方だと思います。

この人は今こう考えているんだろうな。この会議は、このまま行くと揉めるな。このアイデアは、たぶん上手くいく。そういうことは、わりと分かるんです。

でも、自分のことだけは、案外見えていません。

9タイプの取扱説明書を書いてきました。部下のタイプ、上司のタイプ、9通りの「つらさの避け方」。人のことはあれだけ書けたのに、唯一書いていなかったのが、自分です。

だから今日は、観察してきた人間が、初めて観察台に上がる回です。エニアグラム タイプ5(観察する人)の、僕自身の取扱説明書を書きます。

ナギ
正直、少し恥ずかしいです。でも、9タイプを書き終えた今だからこそ、最後に自分を観察してみたくなりました。タイプ5の解説であり、僕がなぜ"会社の外"に答えを探しに行ったのか、その種明かしでもあります。

ナギ

なぜ観察者は、自分だけ観察できないのか

結論から言います。人や状況はよく読めるのに、自分のことになると、急に解像度が落ちる。これがタイプ5の、最初の不思議です。

仕事でも、それは感じます。部下のことは、わりと見えるんです。何が問題で、何が課題なのか。自分が通ってきた領域だから、先回りで見える。

でも、管理職の領域になると、話が変わります。

必要なのは、先の、そのまた先を読む力です。ところが、その世界は、自分もまだ通っていない。経営の視点も、未経験のことだらけです。解像度を上げたくても、上げる材料が手元にない。

最初は、上司に聞けば分かると思っていました。先に進んだ人なら、答えを持っているはずだ、と。

上司に聞けば、解決すると思っていました。でも、その上司も、手探りでした。

これは、誰が悪いという話ではありません。先が見えないのは、みんな同じだった。ただ、それに気づいた時、僕は「社内の上を見上げても、解像度は上がらないんだな」と静かに腹落ちしたんです。

だから僕は、答えを探す先を、会社の外に変えました。この話の続きは、最後にもう一度します。

観察席の死角

タイプ5は、世界を「観察席」から眺める人です。一歩引いて、構造を見る。揉めそうな会議も、上手くいきそうなアイデアも、その席からはよく見えます。

けれど、その観察席には、たった一つだけ、どうしても見えない場所があります。

観察者が唯一観察できなかったのは、自分自身でした。

全方位が見えるのに、自分の真下だけが、すっぽりと影になっている。とくに「自分は本当のところ、何がしたいのか」という問いになると、途端に何も映らなくなる。他人の課題はあれだけ見えるのに、です。

観察席の死角|観察者は全方位が見えるが、自分の真下だけが死角になる
図1:観察席の死角。他人や状況はよく見える。でも、観察者の真下=自分だけが見えない。

📒 観察席の死角

  • 他人の課題は、よく見える
  • 自分の課題だけ、見えない
  • 外に出して、初めて見える

たぶん、僕がブログを書いているのも、これが理由です。書くと、自分の考えがいったん外に出る。外に出して、初めて「ああ、自分はこう思っていたのか」と観察できる。

これは、ブログでなくても構いません。誰かに話す。手帳に書く。会社の外で、別の役割を持ってみる。形は何でもいい。自分を一度”外”に出して眺めること。それが、観察席の死角を埋める唯一の方法だと、僕は思っています。

タイプ5の強み|“引いて見る”から見える

タイプ5の強みは、はっきりしています。距離を取って、構造を捉える力です。

熱くなっている場でも、一歩引いて全体を見る。感情の渦の外から、論点を整理する。停滞や対立を、一段上から眺めて「たぶん、本当の問題はここですね」と言える。

9タイプの取説を書き切れたのも、この気質のおかげです。9人を、それぞれの外から観察して、構造として描く。これは、引いて見る人間だからできたことだと思います。

タイプ5は、一つの正解を探すより、全体の構造を見る方が得意です。だから、9タイプの記事も「この人はこう」と決めつけるより、「なぜ、そう動くのか」を追いかける方が、ずっと面白かった。動機から逆算して、人の行動を一枚の地図にしていく。あの作業は、観察者にとっての、ちょっとしたご褒美みたいなものでした。

ただ、強みと地雷は、たいてい同じ根っこから生えています。次は、その裏側の話です。

タイプ5の地雷|考える時間を奪われると、消耗する

結論、タイプ5が一番消耗するのは「考える時間を奪われること」です。

急な予定変更。今すぐ答えを出せと迫られること。感情論だけで押し切られること。このあたりが続くと、静かに、でも確実に消耗します。

もう一つ苦手なのが、整理されていない議論です。

たとえば、ある提案について「その施策に至った理由は何ですか」と聞いたことがあります。すると、説明が増えれば増えるほど、なぜか論点も増えていく。最終的に、僕の頭の中はこうなりました。

「これは一度、整理した方がよさそうだな」

冷たく聞こえるかもしれません。でも、これは「ちゃんと考えたい」の裏返しなんです。引いて見て、構造を捉えたい。その強みが、整理されていない場では「黙って距離を取る」という地雷として出てしまう。強みと地雷は、本当に同じ根っこなんです。

ナギ
詰めているわけではないんです。ただ、原因と施策がつながっていないと、頭が落ち着かない。これはもう、性質ですね。

ナギ

ストレス時の撤退サイン|静かになり、距離を取る

タイプ5は、しんどくなると、分かりやすく静かになります。

怒るのではありません。距離を取るんです。返信が遅くなる。発言が減る。一人になる時間が増える。外から見ると、いつも通りに見えるかもしれません。でも内側では、エネルギーがかなり減っています。

スマホで言えば、残り5%で省電力モードに入った状態です。

省電力モードと外への給電|会社の中だけだと電池が減る、外軸が外部電源になる
図2:会社の中だけだと、電池は静かに減っていく。会社の"外"が、外部電源になる。

ただ、最近は少し違います。

昔は、ただ電池が減っていくだけでした。減ったら、一人になって、回復を待つしかなかった。でも今は、ブログや社外の活動という”外部電源”があります。

残り5%の省電力モードのまま、静かにバイパスを繋いで、給電している感覚です。

しんどさが、そのまま「外の軸を育てよう」というモチベーションに変わる。これは、会社だけが人生になると苦しくなる、と以前書いた話とも地続きです。外に呼吸口があると、社内で電池が減っても、静かに充電できる。

もし今、外に電源を持っていなくても大丈夫です。バイパスは、これから一本ずつ繋いでいけばいい。最初の一本は、本当に小さくて構いません。

部下へ渡したい、自分の取説

ここまでが、タイプ5という人間の中身です。

もし明日、異動先のメンバーに「自分の説明書を一枚渡してください」と言われたら。僕はたぶん、こう書きます。

✅ タイプ5上司の取扱説明書

  • 沈黙=否定ではない:黙っている時は、たいてい考えています。怒ってはいません。
  • 分からないことは、分からないと言う:知ったかぶりはしません。だから、遠慮なく聞いてください。
  • ロジックは大好きだけど、人は嫌いじゃない:冷たく見えるかもしれませんが、逆です。大切だからこそ、ちゃんと考えたいんです。

これは、弱さを先に出してしまう、ということでもあります。「自分はこういう人間です」と先に渡しておけば、相手も付き合いやすい。

もしあなたの上司や部下に、こういう「静かで、何を考えているか読めない人」がいたら。その沈黙は、たぶん否定ではありません。考えているだけです。少し待つか、「どう思いますか」と一言、水を向けてみてください。

同じタイプ5へ|理解は、改善の前に来る

ここからは、同じように「人は読めるのに、自分が分からない」と感じている人へ。

正直に言うと、9タイプを観察してきた自分が、こうして観察台に上がるのは、やっぱり少し恥ずかしいです。ずっと、見る側にいたので。でも、観察台に上がって、初めて見えたものがあります。自分の真下にあった、あの死角です。

そして、伝えたいことが一つあります。

自分を理解することは、自分を変えることではありません。

タイプ5だから、もっと社交的になれ。タイプ5だから、もっと感情を出せ。そういう話ではないんです。まず「ああ、だからこうだったのか」と分かる。それだけで、十分です。

理解は、改善の前に来ます。変わるかどうかは、その後でいい。まず、自分の取説を、自分で読めるようになること。観察席を降りて、一度だけ自分を眺めてみること。そこからしか、始まらないと思うんです。

9タイプを書き終えて、見えたもの

最後に、この連載を書いた理由の、答え合わせをします。

僕はずっと、観察してきました。部下を観察し、上司を観察し、組織を観察してきました。そうして気づいたのが、最初に話したことです。

会社の中だけを見ていても、自分の解像度は上がらない。先を行く人に聞いても、その人も手探りだった。だから僕は、答えを探す先を、会社の外に変えました。

観察の旅|部下を観察、上司を観察、組織を観察、そして会社の外へ
図3:観察の旅は、会社の外へ続いていた。部下→上司→組織、そして外の世界へ。

ブログを書き、社外の人と話し、経営者の視点を借り、新しい道具を学ぶ。会社の”外”に、自分の電源をつくっていく。この連載も、その旅の途中で生まれたものです。観察者が、自分の死角を埋めるために始めた、外への一歩でした。

9タイプを書いてきて、最後に思ったことを書きます。

人は皆、自分なりの生き残り方をしている。

9通りの強みも、9通りの地雷も、9通りのつらさの避け方も。どれも、優劣ではありません。その人が、その人なりに生き延びるために選んだ、工夫でした。

そして、9人を観察してきた僕自身も、その一人だったんです。引いて見て、外に電源をつくる。それが、観察者なりの、生き残り方でした。

そして、最後に分かったのは。一番理解できていなかったのは、他人ではなく、自分だったということです。

— Calmly. Surely. —

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  • 「自分の取説」は、いつか会社の外に出る時、そのまま"自分のプレゼン資料"になります。理解は、改善の前に来る。まずは一度、自分を観察席に上げてみてください。

関連記事|エニアグラム × 40代管理職

📖 参考書籍|タイプ5理解を深める1冊

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なお、ここで書いた「自分の取説=外に出る時のプレゼン資料」という話を、もう一歩進めたい方へ。自分の経験が社外でどう評価されるかを知っておきたいなら、40代向け転職エージェントの比較もそのための”外の物差し”になります。今すぐ動くためでなく、現在地を知るために。


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