部下のタイプ別 1on1早見表 − 9タイプの"効く一言"を、現役課長が1枚にまとめた【エニアグラム取説 総集編】 −
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部下が、思ったように動いてくれない。
同じ言い方をしているのに、響く相手と、黙ってしまう相手がいる。1on1をしても、なんだか噛み合わない。そんな感覚を、いま抱えている管理職は、たぶん少なくありません。
ある調査では、課長職の6割近くが「最近の若手にどう関わればいいか、確信が持てない」と答えています(人材育成のALUEが2026年に課長職437人へ実施した調査)。かく言う僕も、その437人のうちの1人のような毎日です。
そこで僕は、エニアグラムの9タイプそれぞれについて「どう接すれば1on1が変わるか」を、1本ずつ取扱説明書として書いてきました。この記事は、その総集編です。9タイプ分の「効く一言」と「地雷」を、1枚の早見表にまとめます。
ただ、先に一つだけ、正直に言わせてください。
ナギ
この早見表は、部下を動かす攻略本ではありません
結論から言います。タイプ分けで手に入るのは、相手を思い通りに動かす攻略法ではありません。
手に入るのは、自分の反射的な対応を、一度止める力です。
たとえば、確認の多い部下がいます。昔の僕なら「細かいなあ」で終わっていました。でも今は、一拍置いて考えます。「この人は、何を心配しているんだろう」と。
それだけで、次に出てくる言葉が変わります。「考えすぎだよ」ではなく、「最悪どうなりそう?じゃあ、そこだけ先に潰しておこうか」に。
タイプ分けは、相手にラベルを貼る道具ではありません。相手を理解するための、入口です。その入口を9タイプ分そろえたのが、次の早見表です。
まず1枚で。部下のタイプ別「1on1早見表」
この表は、全部覚える必要はありません。
明日1on1をする部下を、1人だけ思い浮かべてください。その人の欄を見て、「効く一言」を1つ試すだけで十分です。
部下のタイプがまだ分からない方は、先に無料のエニアグラム診断で当たりをつけてから戻ってきてください。この表が、ぐっと使いやすくなります。見分け方のコツは、表の少し下の「行動ではなく、動機を見る」にも書いています。
| タイプ | 隠れた動機 | 効く一言 | 避けたい一言(地雷) | くわしく |
|---|---|---|---|---|
| 1 改革する人 | 正しくありたい | 「それだけ気になっているなら、改善案まで一緒に考えてみようか」 =正しさを共に向ける | 「細かいなあ」 | タイプ1の取説 |
| 2 助ける人 | 必要とされたい | 「助かったよ。あの時のフォロー、ちゃんと見てたよ」 =貢献を具体的に承認 | 「それくらい当たり前」 | タイプ2の取説 |
| 3 達成する人 | 成果を認められたい | 「今回の成果も良かった。一番工夫したのはどこ?」 =過程の工夫まで承認 | 「数字が出ればいい」 | タイプ3の取説 |
| 4 個性的な人 | 特別でありたい | 「その視点、他の人にはなかなか出てこないね」 =独自性を承認 | 「みんなと同じでいい」 | タイプ4の取説 |
| 5 観察する人 | 理解して備えたい | 「少し考える時間を取ろうか。急がなくて大丈夫」 =考える時間を保障 | 「とりあえずやってみて」 | タイプ5の取説 |
| 6 忠実な人 | 安全を確保したい | 「最悪どうなりそう?じゃあ、そこだけ先に対策しよう」 =不安を一緒に潰す | 「考えすぎだよ」 | タイプ6の取説 |
| 7 熱中する人 | 制限されたくない | 「面白そうだね。まず、どこから試してみる?」 =可能性を肯定する | 「前例がないから」 | タイプ7の取説 |
| 8 挑戦する人 | 弱さを見せたくない | 「率直に聞きたい。君はどう思う?」 =主導権を渡す | 「察してほしい曖昧な指示」 | タイプ8の取説 |
| 9 平和をもたらす人 | 波風を立てたくない | 「ちなみに、君自身はどうしたいと思ってる?」 =本音を引き出す | 「どっちでもいいよね?」 | タイプ9の取説 |
たとえば、6番の「忠実な人」。確認が多くて心配性に見える部下に、僕は一度「そこまで心配しなくても大丈夫だよ」と言ったことがあります。安心させたつもりでした。でも本人からすると、「自分の心配を、分かってもらえなかった」になっていたんです。地雷は、たいてい善意の顔をしてやってきます。
❗ タイプは、人を決めつけるラベルではありません。「この人はこういう不安を抱えやすいかも」という、会話の入口を選ぶための補助線です。当てはめすぎず、本人と確かめながら使ってください。採用や人事評価の判断材料には使わないでください。
ちなみに、1on1は「やる前提」の時代になりました。導入企業は規模を問わず多数です。でも、上司・部下ともに「効果を感じない」が約3割、4社に1社では「以前はやっていたが、今はしていない」状態だという調査もあります(パーソル総合研究所)。
形だけ続けても、効果は出ません。効くのは、相手に合わせた「最初の一言」です。この早見表は、その一言を選ぶための地図です。
9タイプは、3つのグループで覚える
9つを丸暗記するのは大変です。でも、現場で部下を見ていると、もっとざっくり3種類に分かれる感覚があります。
「安心したい人」「認められたい人」「自分の領域を守りたい人」。この3つです。
エニアグラムでは、これを「頭」「心」「体」の3つのグループと呼びます。
📒 まず3グループで見る
- 頭のグループ(安心したい):先が読めないと不安。情報と準備で安心を作りたい人たち。
- 心のグループ(認められたい):人とのつながりや評価が原動力。見てもらえると伸びる人たち。
- 体のグループ(領域を守りたい):自分のペースや縄張りを大切にする。境界線を踏まれると硬くなる人たち。
世間でよく見る「4タイプ」の分け方より、少し細かく感じるかもしれません。でも、まずこの3グループのどれかな、と当たりをつけるだけで、関わり方の方向が見えてきます。細かい9分類は、そのあとで十分です。
どのタイプか分からないときは|行動ではなく、動機を見る
部下のタイプを見分けるとき、僕が見ているのは、行動そのものではありません。その奥にある動機です。
たとえば、同じ「何度も確認してくる」という行動でも、理由はバラバラです。6番は不安だから。1番は正確でありたいから。5番は、よく分からないまま進めるのを避けたいから。
行動だけを見ると、「細かい人」とひとくくりにしてしまいます。でも動機まで見ると、かける言葉が変わります。これが、9タイプを書いてきて一番役に立った視点です。
自分の部下がどのタイプか迷ったら、簡単な診断から始めてみてください。
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…と、ここまで「動機を見よう」と偉そうに書いてきました。でも、ふと思うんです。そう言う自分は、ちゃんとできているんだろうか、と。9人ぶんの取説を書き終えて、一番見えていなかったのは、ほかでもない自分でした。
10人目は、書いている僕自身でした
人のことは、わりと見えるんです。でも、自分のことだけは、なぜか見えない。観察ばかりしていて、自分が一番の死角になっている。それが、5番(観察する人)である僕の正体でした。
9人は、他人の観察でした。10人目だけが、自分の解剖でした。観察者は、自分のことだけが見えないのです。
その話は、僕自身の取扱説明書を書いた記事に、ぜんぶ書きました。連載のいちばん最後に、自分を観察台に上げた回です。よかったら、そちらも。
結局、マネジメントとは何だったのか
10本を書き終えて、僕の中に残った答えは、これでした。
マネジメントとは、人を動かすことではなく、人を理解し続けることだった。
📌 10本書いて、残った答え
- 若い頃:人を変えようとしていた
- 管理職になった頃:人を動かそうとしていた
- 今:人を理解しようとしている
少し、時間をさかのぼります。
若い頃の僕は、人を「変えよう」としていました。正しいやり方を示せば、相手はそのとおりにやってくれるはずだ、と思っていた。でも、人はそんなに簡単には変わりませんでした。
管理職になってからは、人を「動かそう」としました。仕組みや言い方を工夫して、結果を出させようとした。少しは上手くなりました。でも、どこか苦しかった。
そして今、たどり着いたのは、結局できるのは「理解すること」だけだ、という地点です。理解した上で、任せる。理解した上で、厳しいことも言う。理解した上で、待つ。何度回り道をしても、ここに戻ってきます。
10枚の取説を並べて、はっきり分かったことがあります。人は、変えられません。変えられるのは、自分がどの一言を選ぶか、それだけです。
この早見表も、相手を動かすための攻略本ではありません。自分が迷わないための、地図です。
不思議なもので、相手をコントロールしようとすると、こちらが苦しくなります。でも、自分の関わり方のほうを変えると、結果として、相手も少しずつ変わっていく。順番が、逆だったんだと思います。
まとめ|明日の1on1で、1人だけ思い浮かべる
9タイプを、いっぺんに覚えようとしなくて大丈夫です。10個覚えようとすると、たいてい何も残りません。
明日会う部下を、1人だけ思い浮かべてください。その人のタイプを想像して、「効く一言」を1つだけ、試してみる。それで十分です。
最後に、いちばん伝えたいことを。
部下を、変えようとしなくていいんです。まずは、理解しようとすること。そこから始めれば、いい。
9タイプの取説を、書いてきました。でも最後に分かったのは、人は9種類に分けられる、ということではありませんでした。
人にはそれぞれ、自分なりの不安があり、自分なりの守り方がある。ただ、それだけのことでした。
だから今日も、相手を変える前に、少しだけ理解しようとしてみる。その一歩が、たぶん、マネジメントの始まりなのだと思います。
— Calmly. Surely. —
🗂️ 連載とあわせて読む
各タイプの詳しい取説は、上の早見表「くわしく」からどうぞ。なお、5番(観察する人)については、「部下としてのタイプ5」を書いた回と、「僕自身=上司としてのタイプ5」を書いた回の、立場が逆の2本があります。読み比べると、同じタイプでも見える景色がまるで違うのが分かります。
📖 参考書籍|9タイプ理解を深める2冊
ここまで読んで、「自分や部下を、もう少し深く理解したい」と感じた方へ。僕自身が連載を書くときに参考にした本を、2冊だけ紹介します。
9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係
日本でエニアグラムを広めた古典。9タイプそれぞれの「動機」と「恐れ」が、平易な言葉で腹落ちします。早見表の背景にある考え方を、もう一段深く知りたい方の最初の一冊に。
- 9タイプの動機と恐れを丁寧に解説
- 自分自身のタイプも見つかる
- 40代以降の自己理解に特に効く
9タイプ・コーチング 部下は9つの人格に分けられる
性格論で終わらせず、「9タイプ別にどう声をかけ、どう任せるか」へ橋渡しする実務書。この早見表をもう一歩踏み込んで使いたい方に。鈴木秀子さんの本(理論)→こちら(現場応用)の順で読むと、頭に入りやすいです。
- 9タイプ別の「響く言葉・響かない言葉」
- 動機を読んで、任せ方とフィードバックを変える
- 診断で終わらせず、明日の1on1に落とせる
🧭 自分の「現在地」を測る計器を、一つ
最後に、少しだけ自分の話を。
タイプを問わず、人が組織を離れるときには、共通のサインがあります。部下のことばかり書いてきましたが、これは自分にも返ってくる話です。辞める・辞めないに関わらず、自分の「いまの市場価値」を測る計器を一つ持っておくと、部下を見る目も、自分を見る目も、ぶれにくくなります。煽るためではなく、現在地を知るために。
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