市場価値、調べてみた。 − AIを使いこなす自分の値段は、社内の物差しでは測れなかった −
※本記事にはプロモーション(アフィリエイトリンク)が含まれます。紹介する商品・サービスは、運営者が実際に利用または検討した上で価値があると判断したもののみを取り上げています。
先に、正直に言っておきます。この記事は、転職を勧める記事ではありません。
僕はいまも、同じ会社で課長を続けています。それでも一度、転職サイトに登録して、自分の職務経歴書を書いてみました。理由は一つ。外から見た自分が、いったいいくらに見えるのか。それが、どうしても気になったからです。
前回、AIに仕事を任せて、自分は判断に回る側になった話を書きました。手を動かすのはAI、人がやるのは「任せる・止める・承認する」。その席のことを、僕は監督席と呼んでいます。座ってみて思ったんです。この監督席に座る力は、社内ではなんとなく評価される。でも、社外から見たら、いくらの値札が付くんだろう、と。
“市場価値の測り方”を解説する記事は、もう世の中に山ほどあります。これは、そういう解説ではありません。現役の課長が、実際に登録して、職務経歴書の前に座ってみた記録です。あなたに勧める前に、僕が先に行ってきました。
ナギ
「社内の物差し」では、AIを使う力が測れない
なぜ、わざわざ外を見に行こうと思ったのか。
きっかけは、会社の外が少しずつ見えてきたことでした。AIを使い始め、ブログを書き、社外の人と話す機会が増える。すると不思議なもので、外の景色が見えるほど、逆に「今の自分は、外からどう見えているんだろう」が気になってくる。一つの会社にすべてを預けているのは、少し危ういな、という感覚もありました。
ここで、一つ言葉を置かせてください。
会社の中では、自分の価値は「社内の物差し」でしか測れません。社歴、役職、上司の評価。その物差しです。
この物差しは、よくできています。長く勤めれば目盛りが進むし、役職が上がれば数字も上がる。でも、決定的に測れないものがありました。AIを使いこなす力や、人をまとめるマネジメントの成果です。社内の物差しには、そこに目盛りがない。なんとなく「がんばってるね」とは言われる。でも、何点なのかは、誰も教えてくれません。
AIを使いこなす力には、社内の物差しに目盛りがない。
目盛りが付いているのは、社外の物差し、つまり市場のほうだけでした。だから僕は、その物差しを借りに行くことにしたんです。やったことは単純で、スカウト型の転職サイトと、エージェント型のサービスに、それぞれ登録してみました。転職するためではありません。自分の現在地を測る計器を、一度手に取ってみたかった。それだけです。
職務経歴書を書き始めて、一瞬、手が止まった
登録すると、当然ですが、職務経歴書を書くことになります。
ここで、最初の壁が来ました。一番止まったのは「成果」の欄です。
考えてみてください。専門のスキル、たとえば自分の手で作った具体的な実績は、まだ書けます。職種は違っても、「これを作った」「これを担当した」は、言葉にしやすい。問題は、マネジメントの成果のほうでした。
「問題が起きないように、先回りして手を打った」。「チームが回るように、段取りを整えた」。「部下が成果を出せるように、環境をつくった」。どれも、課長になってから一番力を入れてきたことです。なのに、いざ職務経歴書に書こうとすると、言葉にならない。問題が起きなかったことを、どう実績として書けばいいのか。分からなかったんです。
正直に言うと、カーソルが点滅したまま、手が止まりました。十数年やってきて、すぐに書けたのは、ほんの数行。「思ったより、何も書けないかもしれない」。そのとき、少しだけ不安になりました。社内では評価されてきたはずの動きが、社外の言葉に、うまく載らない。管理職になるほど、自分の成果が見えにくくなる。これは、ちょっとした発見であり、ちょっとした恐怖でした。
ところが、書き出したら、芋づる式に出てきた
ところが、違ったんです。
詰まったとき、書き方を一つ変えてみました。立派な成果を探すのをやめて、「当たり前だと思っていること」まで、全部書き出す。苦戦したこと、困ったこと、地味に改善したこと。順番も体裁も気にせず、とにかく書き殴る。そうしたら、不思議なことが起きました。
一つ書くと、そこから芋づる式に、次が出てくる。
📝 書き出してみたら、出てきたもの
- 苦戦した案件を、課題を整理して、なんとかやり切った経験
- 部下の強みを引き出して、成長を後押しした関わり
- 他部署とのあいだに立って、こじれた話をまとめた調整
- 地味だけど、仕組みを変えて、現場を継続的に良くした改善
並べてみて、はっとしました。当たり前だと思っていた経験ほど、実は、市場では価値になるものだったんです。自分の中で「こんなの、誰でもやっている」と値札を外していたものに、外の物差しを当てると、ちゃんと目盛りが付く。
このとき、一人では限界がありました。書き出した断片を、市場に通じる言葉に整えるのは、自分だけだと難しい。そこで、AIに手伝ってもらいました。ただし、頼み方にコツがあります。「市場では何と言うの?」ではなく、「これを、僕の強みとして表現してください」と投げたんです。すると、自分でも気づいていなかった強みを、向こうが言葉にして返してくれました。僕だけではきれいにまとまらない。AIだけでは、僕の経歴は書けない。これは、共同作業でした。その手応えの中身は、次の章につながります。
書けなかったんじゃない。まだ、言葉にしていなかっただけでした。
スカウトの値札は、思ったより、ちゃんと付いていた
そうやって仕上げた職務経歴書を登録すると、しばらくして、反応が返ってきました。スカウトや、想定の年収という形で。
正直に言うと、思ったより、ちゃんと値札が付いていました。少し、驚きました。
見えてきたことは、二つあります。
見えたこと①|これまで積んできたものは、外でも通用した
社内でだけ通じるローカルルールだと思っていた経験。その、けっこうな部分が、外でもちゃんと価値として認められていました。
見えたこと②|AIは、思っていたより前線だった
これは、自慢ではなく、自己認識のズレの話として聞いてください。自分では「AIなんて、まだまだ使いこなせていない」と思っていました。毎日、できないことだらけです。でも市場から見ると、AIに受け身で構えず、自分から取りに行っている人は、今はまだ、想像していたより少なかった。最前線にいるつもりなんて、まったくありませんでした。でも、外の物差しでは、思っていた位置とは違うところに、目盛りが付いていたんです。
ただし、ここは正直に書いておきます。これは、僕一人のケースです。あなたの値段は、あなたが見に行かないと分かりません。年齢も、職種も、タイミングも違う。だから、僕の数字に意味はありません。意味があるのは、「社内で当たり前だと思っていたことが、社外では希少だったりする。その逆もある」という、物差しが違うという事実のほうです。
ここまで読んで、自分の値札も見てみようかな、と少しでも思ったなら。僕が実際に使った計器を、下に置いておきます。転職のためではなく、自分を測るための道具として見てください。次の2つは、どれも登録が無料で、客観的に現在地を知るための計器です。
コンサルタントが、強みと弱みを言葉にしてくれる。職務経歴書の"翻訳役"が欲しい人に
- 年収600万円〜2,000万円のミドル・ハイクラス案件
- 30〜40代の管理職・専門職の転職に強い
- 業界専門のコンサルタントが、現在地を客観的に言語化
圧倒的な求人量で、自分の経験が市場でどのくらいの"相場"なのかを確かめられる
- 業界最大級の求人数で、現実の相場が見える
- 非公開求人も多く、市場の温度を把握しやすい
- 登録無料。まず情報を集めるだけでも使える
見に行って、僕は今の場所に戻った
さて、ここまで読むと、「で、転職したの?」と思いますよね。
しませんでした。僕はいまも、同じ会社で課長を続けています。
でも、見に行く前と後で、はっきり変わったことがあります。感覚が、変わったんです。
見に行く前の僕は、「この会社しか、知らない」でした。評価の基準は社内だけ。外にどんな世界があるのか、よく分からない。だから、選べる実感が、そもそもありませんでした。閉じた一本道を、ただ歩いている感覚です。
見に行った後の僕は、こう変わりました。
他にも選択肢がある。その上で、ここにいる。
同じ場所に立っているのに、足元の意味がまるで違います。選択肢を知ると、心に余裕が生まれる。今やれることが、かえってよく見えてくる。そして何より、「選び直した今」に、自分で納得できる。市場価値を調べる記事の多くは、「だから転職しよう」で終わります。でも、僕がたどり着いたのは、その逆でした。選択肢を知った上で、今を選ぶ。市場という鏡は、外へ逃げるための道具ではなく、今いる場所を選び直すための地図だったんです。
ついでに言えば、自分がいま取り組んでいることの方向性は、間違っていなかったんだな、という手応えも得られました。それだけで、月曜の朝が、少し軽くなりました。
値札を見に行ったのは、売るためじゃない
最後に、整理します。
僕が市場に値札を見に行ったのは、自分を高く売りつけるためではありませんでした。
値札を見に行ったのは、売るためじゃない。今の値段を、知らないままでいたくなかったからです。
これは、人間ドックと同じです。どこも悪くないと思っていても、一度数値を見ておく。知らない不安は、放っておくとどんどん膨らみます。でも、知ってしまえば、不安は「対策できる課題」に変わる。体の調子が悪いのに「大きな病気だったら怖いから」と病院に行かない。そういう人、けっこういますよね。市場価値も、まったく同じだと思うんです。
そして、もう一つ、正直に書いておきます。仮に、思ったより低い値札が付いたとしても、それは「今」の値段です。落ち込む必要はありません。むしろ、何を足せば目盛りが上がるのかが見えるだけでも、見に行く価値があります。高いか低いかより、現在地が分かること。それ自体が、次の一歩の地図になります。
だから、もしあなたが「気になるけど、見るのが怖い」と感じているなら。怖いなら、なおさら、一度見ておいたほうがいい。
転職するかどうかは、値札を見てから決めればいい。見ないまま決めるより、ずっといいはずです。
その感覚を一度持つと、毎日の仕事の手触りが、静かに変わります。
他にも選択肢がある。その上で、ここにいる。
📝 自分の値札を、言葉にしてみる(ワークシート)
最後に、僕が職務経歴書でやったことを、そのまま試せる形にしておきます。やることは、点数を出すことではありません。自分の経験を「市場に通じる言葉」にする。それだけです。
まず、ノートでもスマホのメモでも、次の項目を書き出してみてください。立派なことを書こうとしないのがコツです。
📝 棚卸しシート(当たり前まで書き出す)
- 苦戦したこと/困ったこと
- うまくいったこと
- 誇れる成果 TOP3
- 感謝されたこと TOP3(部下・上司・他部署から)
- 失敗したこと 3選
- AIに任せたこと/自分が判断したこと
全部やろうとすると、手が止まります。だから、まず1つだけ書けばいい。おすすめは「感謝されたこと、ひとつ」です。管理職の成果は数字になりにくいけれど、誰かに感謝された記憶は、強みのありかを教えてくれます。
書き出したら、その内容をそのままAIに貼り付けて、こうお願いしてみてください。
「転職用の職務経歴書を作成しています。市場で強みが伝わるように言語化してください」
自分でも気づいていなかった強みが、言葉になって返ってきます。これは、転職するためのワークではありません。書き出したものは、誰かに提出するためではなく、自分の現在地を、自分自身の言葉で知るためのものです。
ひとつだけ、注意を。AIに貼り付けるときは、社外秘の情報や、勤務先・個人が特定される固有名詞は外しておくと安心です。中身ではなく、「どんな経験を、どう言葉にするか」を借りる。それだけで十分に役に立ちます。
— Calmly. Surely. —
📖 参考書籍|「市場価値」を、転職テクニックでなく”考え方”から
市場価値という言葉を、年収アップのテクニックではなく、「どう生きるか」の問いとして考えたい人に、いちばんおすすめの一冊です。物語形式で読みやすく、「自分の値段は、何で決まるのか」を根っこから捉え直させてくれます。僕が市場に値札を見に行こうと思えたのも、この本で”考え方”の土台ができていたからでした。
このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
「自分の市場価値は、技術資産・人的資産・業界の生産性で決まる」という、シンプルで強い考え方を物語形式で教えてくれる一冊。転職するかどうかにかかわらず、自分の値札の"中身"を理解したい人の土台になります。本記事の「社外の物差し」を、もう一段深く理解できます。
- 市場価値が「何で決まるのか」を構造で理解できる
- 転職テクニックではなく、キャリアの考え方の本
- 「いつでも動ける状態」が心の余裕になると分かる
🔗 あわせて読みたい
この記事は、AIと働く時代に「自分の値打ち」をどう捉えるかを考える連載の一本です。
そもそも、なぜ僕が監督席の話から市場価値にたどり着いたのか。その前提になっているのがもう、自分だけではやらない(Copilot Coworkで監督席に座った話)です。「社内の値札」と「市場の値札」は別物だ、という気づきの原点は二つの値札(黒字リストラと、会社依存からの卒業)に書きました。
そして、値札を見て終わりにせず、自分を更新し続けるための地図が自分の保全計画(40代管理職の自己更新の地図)です。市場価値とは別に、自分の”更新の状態”(点検切れ・点検中・保全計画 稼働中)を点数で確かめたい方は、そこにある自己更新セルフチェックも使えます。
※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。リンク経由で商品・サービスをご利用いただくと、運営者に紹介料が支払われることがあります。価格や評価が変わるものではありません。
🧭 次に読むおすすめ
この記事とテーマの近い順に選んでいます