昔の部下に、報告する "省いた説明"

(更新: ) 著者: ナギ
#報告 #伝え方 #立場の変化 #管理職 #マネジメント #部下との関係 #40代 #コミュニケーション
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かつての部下に資料を差し出して報告する40代管理職の手元

かつて僕のチームにいた人へ、こちらが報告することになりました。ある仕事で、その人が全体をまとめる側になり、僕が自分の担当分を出して、判断してもらう側になったのです。

立場が入れ替わった話は、それだけなら珍しい経験談で終わります。でも、このとき僕の側に、思っていなかった変化が起きていました。変わったのは気持ちより先に、僕が書く報告の長さでした。

僕は、その人への説明を省いていました。「ここは分かるだろう」と。この記事は、その省いた説明に何が起きたか、の話です。

かつて僕のチームにいた人に、報告を出す日が来た

昔、僕のチームにいた人がいます。一緒に手を動かして、僕が教える側に立つことも多い間柄でした。教えたことを、その人が自分のやり方に変えていくのを、隣で見ていた時期もあります。その後はお互いの持ち場が変わり、しばらく離れて働いていました。

ある仕事で、久しぶりに一緒になりました。最初の挨拶は、少しぎこちなかったと思います。それが、昔一緒にやった仕事の話になった途端、急に会話が戻りました。「意外と昔のまま話せるな」。そのときは、それだけの感想でした。

その仕事では、その人が全体をまとめ、僕は自分の担当分を報告して、判断してもらう側です。昔とは、向きが逆でした。

報告する内容そのものは、普段の仕事と変わりません。何が起きて、いまどこまで進んでいて、どこで判断が要るのか。それを、決める人に届くように書くだけです。ただ、報告を書き始めて、気づいたことがあります。

その人に出す報告だけ、僕は説明を短くしていました。

以前一緒にやった部分は、経緯ごと省いて出した

気まずさや、悔しさの話ではありません。それは思ったより早く消えました。

残っていたのは、報告の長さの方です。以前一緒に関わっていた部分については、「ここは分かるだろう」と、経緯や前提を飛ばして出していました。現役の部下と話すのと同じ感覚で、専門用語も多めに使っていました。

その中には、その人と離れてから使うようになった言い方や、当時はまだなかった前提も混ざっていたと思います。ただ、それに気づくのは、もう少しあとでした。

言い方は、勝手に入れ替わっていくものです。同じ仕事でも、時間がたてば、呼び名や進め方の前提が少しずつ変わります。中にいると、その変化は目に入りにくいものです。

年上の部下に遠慮していた話は、以前に書きました。あちらは、相手の経験をどう見るか。今回は、僕が相手について知っていることが、いつのものか、という話です。

これは、立場が入れ替わった相手に限らない気がします。久しぶりに会った人や、長く付き合っている相手でも、同じことは起こりそうです。僕は、長く知っている相手ほど、説明を短くしてしまうところがありました。今回は、それが分かりやすい形で表に出ただけでした。

省いたところから、質問が返ってきた

出した報告には、質問が返ってきました。それも、僕が「分かるだろう」と飛ばした前提について、です。

ナギ
あ、そこ、僕が省いたところだ。

ナギ

返ってきた質問は、判断するために必要なところを突いていました。たしかにそこを飛ばしていた、という場所です。離れていた時間のぶん、こちらの前提と、あちらの前提はずれていました。

省いた経緯を、あとから補う。専門用語に、説明を付け直す。短く書いたぶんを、あとから説明で書き足していました。最初から書いておけば、余計な往復は減らせたと思います。

判断をしてもらうなら、要るのは今の情報です。あの往復で、それを覚えました。

僕が使っていた言葉のいくつかは、その人と離れてから覚えたものでした。

そういう言葉は、こちらが説明してはじめて伝わります。それなのに僕は、「以前一緒にやっていたから分かる」の側に、そうした言葉まで入れていました。

短い報告の行間に前提と経緯の空欄が二つあり、質問が省いた場所に返ってきたことを示す図
図1:省いた場所に、質問が返ってきた

「言わなくても分かる」は、誰に向けて言っていたか

言わなくても分かる。そう思って省いた説明の宛先は、僕が知っている頃のその人でした。

考えてみると、僕が説明を省くかどうかの基準は、目の前のやり取りより、昔共有していた知識の方にありました。初対面の相手になら、今の状況から順に説明します。よく知っている相手ほど、その確認を飛ばしてしまう。

僕は、よく知っている相手ほど、昔共有していた前提を使って説明を組み立てていました。今回もそうでした。判断してもらうための情報の一部を、文面に書かず、自分の頭の中に置いたままにしていました。

相手が僕をどう見ていたかは、分かりません。ただ、少なくとも僕は、昔知っていたその人に向けて書いていました。そこは、自分で変えられます。

昔知っていたことを、省く理由にしない

伝え方は、相手によって変えます。ただ、昔知っていたことだけで、今の相手を決めないようにしました。

今の僕は、昔知っていたその人をいったん脇に置いて、今のその人に合わせます。

この記事を書きながら整理すると、僕が報告で確認したいのは、この4つです。

🗂 昔の共有知識で、省かないために

  • まず、昔その人が知っていたことを、前提にしない
  • 何が起きたか
  • 今どうなっているか
  • 僕が決めたこと・決めていないこと
  • 相手にしてほしいこと

書いてみると、普通のことばかりです。ただ、よく知っている相手を前にすると、この普通が一番先に削られていました。

だから、まず4つをそろえます。そのあとで、今の相手に合わせて短くする。この順番なら、「昔知っていたから」という理由だけで、必要な前提まで先に削らずに済みます。

まとめ|知っている相手にこそ、前提を書く

不機嫌に見えていた日の話を、前に書きました。あれは、僕が読まれていた話です。今回は逆で、僕が相手を読み違えていた話でした。

立場が入れ替わったことそのものより、この読み違えの方が、僕には大きな出来事でした。今回、長く知っている相手にこそ、前提を書いた方がいいと気づきました。昔知っていたことをいったん外して、今のその人に向けて書く。

今は、昔のその人ではなく、今のその人に宛てて書いています。知っているところは、読み飛ばしてもらえばいい。

※この記事は、一人の管理職の一次体験です。状況や時期は、個人が分からない形に整えています。

— Calmly. Surely. —


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