目が疲れて本が読めなくなった。でも、耳はまだ、ひまだった。 − 40代管理職の"耳の通勤定期" −
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通勤電車で、今日もまた何もしなかった
電車に揺られながら、スマホをぼんやり眺めて、気づいたら降りる駅。
今日も何もしなかったな、と思う。
そんな夜が、僕にもあります。
「学ばなきゃ」とは思っている。必要そうな本も買った。でも、家に帰って開くと、数ページで目が滑る。文字は見えているのに、頭に入ってこない。気づくと、同じ行を二度読んでいる。
そうやって読めなかった自分を、通勤電車の中で責める。「あの時間、何かに使えたんじゃないか」と。
もし、あなたにも心当たりがあるなら、最初にお伝えしたいことがあります。これは「通勤時間を有効活用しろ」という記事ではありません。むしろ、責めるのをやめませんか、という話です。
以前、学びが続かないのは意志が弱いからではなく、続く仕組みを作れていないだけだと書きました。「学ばなきゃ」で買った参考書が積んでしまう人への回です。今日はその続きです。続け方ではなく、“どこで学びの燃料を入れるか”。場所の話をします。
そして、その場所は、たぶんあなたがもう毎日通っている場所です。
目が疲れて本が読めなくなった。でも、耳はまだ、ひまだった。
✅ この記事の結論
- 読めないのは意志でも年齢でもなく、目と気力の"営業時間"が切れているだけ
- 目が閉まっても、耳はまだ空いている。移動を"耳の通勤定期"に変える
- 全部やらなくていい。気合いではなく、環境の設計の話です
ナギ
「読む時間がない」の本当の正体は、時間ではなく”目”だった
結論から言います。40代がすきま時間にインプットできないのは、時間がないからだけではありません。目と気力が、先に切れているからです。
僕は40代に入ってから、夜に本が読めなくなりました。
仕事が終わって、家のことも少し落ち着いて、「よし、少し読もう」と本を開く。でも、数ページで目が疲れる。文字は見えているのに、頭に入ってこない。スマホの長文も同じで、スクロールしているのに内容が残らない。
不思議なのは、会議の資料や仕事のメールは読めることです。必要に迫られているから読める。でも、自分のための読書になると、目と気力が先にシャットダウンする。
老眼だ、と大げさに言いたいわけではありません。ただ、一日中ディスプレイを見たあとの夜は、目の営業時間も、集中力の営業時間も、もう閉店している。それだけのことなんです。
「本を読む時間がない」と思っていました。でも本当は、時間だけの問題ではなかった。読むための入口が、夜にはもう細くなっていたのです。
耳は、まだ空いていた|移動を”耳の通勤定期”に変える
ある日、ふと気づきました。「目はもう疲れているけど、耳は空いているな」と。
通勤の電車。運転中の車。昼休みの少しの徒歩。料理をしている時間。手も目も塞がっているのに、耳だけは空いている時間が、一日のなかに意外とたくさんある。
そこに、軽い気持ちで耳から本を入れてみました。最初に最後まで聴き通せたのは、語り口のやわらかいビジネス書でした。聴き終えたとき、変な感動があったんです。
「あ、読まなくても、一冊終わるんだ」と。
本を一冊読むには、机に向かう時間と気力が要る。そう思い込んでいました。でも、耳なら、移動しているあいだに進む。料理をしているあいだに進む。歩いているあいだに進む。これは、通勤時間の勉強法として、ずいぶん身体にやさしいやり方でした。
僕はこれを、“耳の通勤定期”だと思っています。机に向かわなくても、移動しているだけで、耳から少しずつ学びが入ってくる。毎日ぜんぶ使わなくていい。でも、使える日はちゃんと効く。
定期券のいいところは、持っているだけで、その期間ずっと効くことです。耳の通勤定期も同じで、一度この感覚を持つと、移動が「消えていく時間」から「少しずつ積み上がる時間」に変わります。
ひとつ、お伝えしたいことがあります。「電車じゃないから本は読めない」とあきらめていた車通勤の人にも、耳から入れる学びは合います。もちろん、運転中は目も手も、安全確認に使うのが最優先です。そのうえで、運転の妨げにならない範囲で、無理のない音量でなら、耳だけが使える場面がある。都会の電車通勤だけが、学びの時間ではないんです。
全部覚えなくていい|一冊聴いて、一つ残ればいい
耳学習が続くようになった一番のきっかけは、聴き方を変えたことではありません。全部覚えるのを、やめたことです。
最初は、ちゃんと聴かなきゃ、覚えなきゃ、と力んでいました。すると、聴くこと自体がしんどくなる。一度で全部を吸収しようとすると、机に向かう読書と同じくらい消耗するんです。
ある時から、こう割り切りました。
全部覚えなくていい。一冊聴いて、一つ残ればいい。
いえ、もっと言えば、一周で何も残らない日があってもいい。むしろ、ゼロの日があって当たり前です。そのうえで、同じ本を二周、三周と流していくと、二周目で気になる言葉が立ち上がり、三周目で自分の言葉になる部分が出てくる。それくらいの、ゆるい付き合いでちょうどいい。
寝落ちしてもいい。気づいたら違う章に進んでいてもいい。戻りたければ戻ればいい。完璧に聴かないから、続くんです。
ちなみに僕はAudibleを使っていますが、最初の一歩は何でもかまいません。ポッドキャストでも、スマホの読み上げ機能でもいい。まずは「耳で入れると、意外とラクだな」と一度感じることが大事です。具体的なサービスの話は、記事の最後に少しだけ触れます。
📒 耳学習が続く人の"ゆるさ"
- 一周で何も残らない日があっていい(ゼロが普通)
- 二周・三周して、一つ残れば十分
- 寝落ち・聞き逃し・巻き戻し、全部OK
車通勤でも安全に|“ながら聴き”の環境設計
耳学習には、向くものと向かないものがあります。そして、続けるには、ちょっとした”環境の設計”が要ります。気合いではなく、環境です。
まず、向き不向き。僕の感覚では、耳に向くのは、語り口のはっきりした本です。キャリア、マネジメント、自己理解、エッセイに近いビジネス書。逆に、図表を追う本、数式やロジックを目で確かめたい本、線を引きながら読みたい本は、耳だけだと苦しい。
だから僕は、耳は”入口”だと思って使っています。まず全体像を耳でつかむ。気になったところだけ、あとで紙や電子で確かめる。耳で全部やろうとすると、かえって続きません。
倍速にも、少し作法があります。僕はだいたい1.2〜1.5倍ですが、慣れてきた頃に失敗しました。2倍で聴き続けていたら、頭の回転だけが急かされて、内容が流れていくだけになった。おまけに、会議でも人の話を待てなくなったんです。相手が話している途中で「つまり、こういうことですね」と先回りしたくなる。これは、危ない。耳学習のスピードを、仕事の会話に持ち込んではいけないと反省しました。今は、速さより”残る聴き方”を選んでいます。
そして、意外と見落とされがちなのが、音の環境です。音楽と違って、ビジネス書や音声学習は、まわりの音が入ると内容が抜けます。聞こえてはいるのに、頭に残らない。だから「どこで聴くか」で、入り方がまるで変わります。
僕の場合の使い分けは、こうです。
📒 "ながら聴き"の場所別ルール(安全優先)
- 電車:ノイズキャンセリングがかなり効く。走行音や人の声で言葉が抜けるのを防げる
- 車:ノイズキャンセリングはNG。周囲の音が聞こえにくくなって危険。聴くなら音量は控えめに、安全確認を最優先
- 徒歩:音量に注意。歩行中は周囲の安全確認が要る
耳学習は便利ですが、安全を削ってまでやるものではありません。机に向かうとき静かな場所を選ぶのと同じで、耳で学ぶときも、無理のない音の環境を整える。それだけで、同じ一冊が、ずっと頭に入るようになります。
埋めなくていい|耳が疲れる日は、聴かない
ここまで読んで、「よし、移動時間を全部学びに変えよう」と思った方がいたら、少しだけ待ってください。
移動時間を、全部埋めなくていいです。これは、かなり大事なことだと思っています。
通勤も移動も、すべてインプットに変えようとすると、息が詰まります。窓の外をぼんやり眺める時間も、何も聴かずに運転する時間も、ちゃんと必要です。あの何もしていない時間に、頭の中が勝手に整理されていることもある。
特に管理職は、日中ずっと情報を浴びています。メール、会議、相談、判断、報告。朝から晩まで、頭は動きっぱなしです。そこに移動時間まで学びを詰め込んだら、耳も頭も、休む場所がなくなる。
だから、耳が疲れる日は、聴かない。それで正解です。学び直しは、根性では続きません。余白があるから続きます。耳の通勤定期も、毎日かならず改札を通らなければいけないものではない。使える日に、使えばいい。
ナギ
通勤往復、平均1時間19分。その時間をどう使うか
ここで少しだけ、数字の話をさせてください。総務省の社会生活基本調査(令和3年)などによると、日本の通勤時間は往復で平均1時間19分ほど。単純に1年ぶんを足すと、300時間近くになります。移動時間の学び直しを考えるうえで、これは決して小さくない数字です。
ただ、「300時間も無駄にしている」と煽るつもりはありません。さっき書いたとおり、全部を埋める必要はないからです。
その300時間のうち、ほんの10分。今日は、それだけで十分です。
まとめ|今日は、帰り道の10分だけでいい
最後に、今日からできる一番小さな一歩を書きます。
明日の帰り道、ひと区間だけ、耳に何かを流してみる。これだけです。
朝ではなく、帰りがおすすめです。朝は仕事に向かうモードで、頭の中が予定とタスクでいっぱいになっている。帰り道のほうが、少し力が抜けていて、耳が受け取りやすい。
最初から有料サービスに登録する必要もありません。ポッドキャストでも、画面を消したまま流す動画でも、スマホの読み上げでもいい。場所も、通勤に限りません。帰りでも、料理中でも、夜の皿洗いでもいい。
合言葉は、こうです。「今日は、帰り道の10分だけでいい」。降りる駅のひとつ前まで。車なら、家に着く少し前まで。それで十分です。
以前、腕の速さには賞味期限があるけれど、現場の勘には利子がつくと書きました。手順は忘れても、気付きは残るという話です。移動時間も、少し似ています。毎日ぜんぶを学びに変えなくていい。ただ、帰り道の10分だけでも耳に流しておくと、気づいた時には、小さな利子のように残っていることがあります。
机に向かう時間を探すのをやめた。座ったまま運ばれている時間を、使うことにした。
目が疲れて本が読めなくなっても、学ぶのをあきらめなくていい。入口を、目から耳に移すだけ。毎日通っているその移動は、あなたの”耳の通勤定期”になります。
✅ 耳の通勤定期、今日の一歩
- 明日の帰り道、ひと区間だけ耳に流す(まずこれだけ)
- 無料のポッドキャスト・読み上げでいい。登録は後でいい
- 電車はノイキャン有効/車はNGで安全優先/徒歩は音量注意
- 耳が疲れる日は、聴かない。全部を埋めない
ナギ
— Calmly. Surely. —
耳で読むという選択肢
ここまで読んで、「ちょっと耳を試してみようかな」と思った方へ。
無料のポッドキャストや読み上げで十分です。ただ、僕の場合は、聴きたい本を”探す手間”で挫けてしまうことが多かった。それで、品揃えに少しお金を払って、探す手間のほうを省きました。それが、本を耳で聴けるAudibleです。合わなければ解約すればいいし、実際、僕も最初の一冊は最後まで聴けませんでした。気軽に試すくらいで、ちょうどいいと思います。
通勤・移動・家事の"ながら時間"を、本を聴く時間に変える
- 30日間の無料体験あり(期間内に解約すれば料金はかかりません)
- 対象作品が聴き放題。話題のビジネス書も、耳で聴ける作品が豊富
- 合わなければ解約でいい。"自分に向くか"を試すだけでも十分
目で読む日もある人には、月額で読み放題のKindle Unlimitedが相性いいです。耳と目を、その日の体調で使い分ければいい。
耳学習の環境づくりに、ひとつだけ
最後に、道具の話を少しだけ。といっても、主役はあくまで「移動時間を耳に使う」という習慣のほうです。
僕はAirPodsを使っています。さきほど書いたとおり、電車ではノイズキャンセリングがかなり効きます。走行音や人の声で言葉が抜けるのを防いでくれる。一方で、車の運転中はノイズキャンセリングはオフに。周囲の音が聞こえにくくなるのは危険なので、ここは安全を最優先にしてください。
最新モデルは入れ替わりが早いので、機種は何でもかまいません。今のラインナップから、予算に合うものを一つ選べば十分です。
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