健康診断の再検査、まだ予約していない自分へ 40代の“点検切れ”を机に戻す話

(更新: ) 著者: ナギ
#健康診断 #再検査 #40代 #管理職 #セルフケア #キャリア
この記事は約 9分 で読めます
健康診断の再検査の封筒を、引き出しから机に戻す。40代の点検切れの自分へ

健康診断の結果に、「要再検査」の文字がついていたことがあります。

その封筒を、僕は引き出しに入れました。

正確に言うと、しまったというより、見えない場所に移したんだと思います。

机の上にあると、見るたびに気になる。でも、電話をするのは面倒。予約を取るのも面倒。病院に行く時間を作るのも面倒。そう、自分に言い聞かせていました。

でも、本当は面倒だっただけではありません。

怖かったんだと思います。

電話をしたら、ちゃんと向き合わなければいけなくなる。予約をしたら、行かなければいけなくなる。行ったら、結果を聞かなければいけなくなる。その一つひとつが、少し怖かった。

会社では、あれだけ予定を調整できるのに。会議は入れられるのに、自分の再検査だけは、予定に入れない。

今思うと、かなり都合のいい後回しでした。

部下の体は気にかけるのに、自分の体だけ、点検の期限が切れている。

📒 先に、この記事の3行

  • これは健康の話ではなく、引き出しの封筒を、机に戻す話です
  • 後回しの正体は、「忙しい」の顔をした「怖い」。だから責めません
  • 今日やることは、予約じゃない。紙を、机に出すだけ
ナギ
これは「早く病院へ行きましょう」という記事ではありません。引き出しの封筒を、一緒に机に戻すだけの記事です。予約は、しなくていい。今日は、それだけで十分です。

ナギ

「忙しいから」の顔をした、「怖いから」

再検査を後回しにする理由を、僕はずっと「忙しいから」だと思っていました。

たしかに、忙しい。でも、忙しさは言い訳としてあまりに便利すぎます。

病院に電話をかけるのは、5分です。その5分すら作れないほど、本当に忙しかったのか。違います。5分が作れなかったのではなく、その5分に向き合いたくなかった。

忙しいから、だけではなかった。怖かったから、後回しにしていた。

電話を一本かけるという小さな動作の向こうに、「もしかしたら」が待っている気がする。だから、電話に手が伸びない。面倒という言葉は、その怖さにかぶせる、ちょうどいい蓋でした。

ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。

後回しにしているあなたを、僕は責めません。

「早く行け」と言うのは簡単です。でも、たぶんあなたは、行った方がいいことを一番よく分かっています。放っておかない方がいいことも、分かっている。分かっているのに、動けない。それは、弱さではなくて、ごく普通の反応だと思うのです。

40代は、仕事も家庭も、予定でぎっしり埋まっています。自分のことは、いつも最後に回る。しかも健康の話は、開けたくない箱のようなところがあります。怖くて後回しにするのは、当たり前なんです。

これ、僕を含めて、男の人にありがちなのかもしれません。人には「無理しないで」と言うのに、自分の体調だけは、妙に軽く見積もる。僕にも、はっきりそういうところがあります。

再検査を後回しにする理由。忙しいという言葉が、本当は怖いという気持ちに蓋をしている
「忙しい」は、便利な蓋だった。その下にあったのは、「怖い」だった。

点検する側なのに、自分だけ点検切れだった

仕事で、僕は「点検する人」です。

部下が疲れていそうなら、「無理しないでください」と声をかける。体調が悪そうな人がいれば、「今日は早めに帰った方がいいですよ」と言う。現場の設備や業務には、点検表を作る。確認項目を並べて、抜け漏れがないようにする。異常があれば、早めに手を打とうとする。

人の体の不調には、気づく。設備の不調にも、気づく。仕事のリスクにも、気づく。

なのに、自分の再検査の封筒だけは、引き出しの奥に入れっぱなしでした。

これは、よく考えると、かなり矛盾しています。

ある日、疲れていた部下に「無理しないでくださいね」と声をかけて、自分の机に戻りました。その時に、引き出しの中の封筒を、ふっと思い出したんです。

少し、嫌な感じがしました。

自分だけ、点検の対象から外しているな、と。

人には期限を置き、確認者を決め、見落とさないように仕組みを作る。それなのに、自分という現場だけは、点検表のどこにも載っていない。すべての現場を回すために、自分という現場だけを、後回しにしていました。

部下や設備は点検するのに、自分の体だけ点検の対象から外している管理職の矛盾
人の体には気づく。設備にも気づく。でも自分の体だけ、点検の対象から外していた。

これが、僕の言う「点検切れの自分」です。

部下にも設備にも点検の期限を置くのに、自分の体だけは、その期限がとっくに切れている。切れていることにすら、気づかないふりをしている。

「気をつけます」を、対策と認めなかったのに

仕事をしていると、「気をつけます」という言葉が、対策として通らない場面があります。

何かトラブルが起きたとき、「次から気をつけます」だけでは、誰も納得しません。なぜ起きたのか。どこで止めるのか。誰が見るのか。何を変えるのか。そういう具体策がないと、対策とは呼べない。これは僕自身、けっこう大事にしてきた感覚です。

なのに、自分の体に対してだけは、なぜか「気をつけます」で済ませていました。

食事に気をつけます。睡眠に気をつけます。運動します。時間ができたら、行きます。

これ、仕事だったら絶対に対策として認めない言葉です。期限もない。具体策もない。誰も見ていない。それなのに、自分の体には、平気で使っていました。

「気をつけます」を対策と認めなかった僕が、自分の体にだけは「気をつけます」で済ませていた。

なぜ、こうなるんだろう。少し考えてみて、思い当たったことがあります。

他者が関わる仕事ほど、僕は慎重になります。自分だけではコントロールできないからです。だから点検表を作る。確認者を決める。期限を置く。

なのに、自分の体のことになると、なぜか「いざとなれば自分で動ける」と思ってしまう。まだ大丈夫。時間ができたら行く。気をつければ、何とかなる。自分のことは、自分でコントロールできるはずだ、と。

でも、本当は逆なのかもしれません。

体こそ、自分の思いどおりにはコントロールできない。気合いでどうにかできた頃は、もう過ぎている。だから、紙を引き出しにしまっている場合じゃなかったんです。

実際、40代に入ってから、体の変化は感じます。同じだけ寝ても、疲れが抜けない日がある。無理をした後の回復が、遅い。健康診断の結果にも、少しずつ注意の印がつき始める。

昔なら、気合いで戻せた感覚がありました。少し寝れば回復する。少し動けば戻る。でも今は、そう単純ではない。壊れたというより、回復に時間がかかるようになった。

「もう若くないんだな」と思う瞬間は、突然どかんと来るというより、小さく、何度も来ます。健康診断の紙は、その小さな変化を、文字にして見せてくるものなのかもしれません。だから、余計に見たくなくなる。

整理すると、僕の中で起きていたのは、こういうことでした。

他人のことは、点検する。仕事のことは、対策する。でも自分の体だけは、「気をつけます」で済ませていた。

だから、今日は予約しなくていい

ここまで読んで、「やっぱり行った方がいいよな」と思ったかもしれません。

でも、いきなり「予約しましょう」は、ハードルが高いんです。

予約するには、病院を探して、時間を見つけて、電話して、予定に入れて、行く覚悟をする。小さな壁が、いくつも並んでいます。その全部を一度に越えようとするから、結局、また引き出しに戻してしまう。

だから、分けます。

僕がやってみて効いたのは、「最初の動作を、できるだけ小さくする」ことでした。

📌 今日からの、命じない三段

  • 1日目:再検査の紙を、引き出しから出して、机に置くだけ。予約はしなくていい
  • 2日目:病院の名前と電話番号を、スマホのメモに貼るだけ。電話はしなくていい
  • 3日目:その番号に、電話を一本かける

1日目は、本当に、紙を机に出すだけでいいんです。

引き出しの中にあると、ないことにできます。でも机の上にあると、少なくとも「ある」と認めることになる。それだけで、後回しは、少し崩れます。

2日目も、電話はまだしなくていい。病院名と番号を、メモに貼るだけ。3日目になって、ようやく電話です。

予約ではなく、紙を出す。電話ではなく、番号を調べる。受診ではなく、予定を1枠だけ空ける。半歩に割ると、不思議と動けることがあります。

引き出しから机へ、番号をメモ、電話一本。再検査の予約までを命じない三段に分ける
予約ではなく、紙を出す。電話ではなく、番号を調べる。半歩に割ると、動ける。

最後に動けたきっかけは、立派な決意ではありませんでした。

机の上に紙が出ている状態は、地味に効きます。引き出しに入れていれば、忘れたふりができる。でも机の上にあると、毎日、目に入る。見るたびに、少し嫌な気持ちになる。

その嫌な感じが、最後は電話一本につながります。「もう、この紙を見続ける方がしんどいな」と思った時に、動く。大きな勇気じゃなくていい。それくらいの、現実的なきっかけで十分なんです。

ナギ
脅すつもりはありません。ただ、点検表に自分の名前を一行だけ足す。そんな気持ちで、紙を机に出してみてください。それだけで、もう半歩進んでいます。

ナギ

まとめ|引き出しから、机へ

📌 持ち帰り

  • 後回しの正体は、「忙しい」の顔をした「怖い」。責めなくていい
  • 点検する側なのに、自分だけ点検切れだった
  • 体こそ、思いどおりにはコントロールできない。だから後回しにしない
  • 今日は、予約しなくていい。紙を、机に出すだけ

この記事には、おすすめのサービスも、買ってほしい本も、出てきません。

主役は、本でもサービスでもありません。主役は、引き出しの中の紙です。

その紙を、見えない場所から、見える場所へ。引き出しから、机へ。動かすのは、たったそれだけです。

部下には「無理しないで」と言えるのに、自分の体だけは後回しにしてしまう。それは、あなたが冷たいからではありません。点検する側に立ち続けてきた人ほど、自分という現場を、つい最後に回してしまうだけなんです。

だから、今日は、点検表に自分の名前を一行だけ足してください。

今日は、予約しなくていい。紙を、机に出すだけ。

それでも、十分に一歩です。

— Calmly. Surely. —

ナギ
僕も、引き出しの封筒を、机に戻すところから始めました。一緒に、ゆっくりでいきましょう。

ナギ


🗂️ あわせて読みたい


※本記事のエピソードは、個人と職場の特定を避けるため、一部を再構成しています。

※体調や検査結果に不安がある場合は、自己判断せず、医療機関や産業医にご相談ください。

🧭 次に読むおすすめ

この記事とテーマの近い順に選んでいます

40代エンジニアのリスキリング|10年後も稼げる3つのスキル領域
リスキリング戦略

40代エンジニアのリスキリング|10年後も稼げる3つのスキル領域

会議室で静かに頷く40代の管理職
体験記

「特にありません」と言った日。|ある持ち場だけに出していた"心の内示"

連休最終日の夜、机の上の仕事用の鞄を静かに見つめる40代男性
体験記

体は休んでいた。気だけが、出社していた。|40代管理職の"休息の負債"