全部、直ってきました。それで、困りました。 − "二色の赤" −

(更新: ) 著者: ナギ
#部下との関係 #部下育成 #報告書 #管理職 #マネジメント #40代
この記事は約 7分 で読めます

※本記事にはプロモーション(アフィリエイトリンク)が含まれます。紹介する商品・サービスは、運営者が実際に利用または検討した上で価値があると判断したもののみを取り上げています。

生成りの机で、赤の書き込みが入った紙を手にした40代管理職

部下の資料に入れた赤(直してほしいところの書き込み)が、そのとおり全部直って返ってきました。例として書いた言い回しまで、そのまま入っていました。

望んだとおりのはずなのに、困りました。直さないと困る赤と、直さなくても伝わる赤を、僕は同じ強さで渡していたからです。

この記事は、その赤を二つに分けるまでの話です。

全部、直って返ってきた

📄 この章の話

赤を入れた資料が、全部そのとおりに直って返ってきた日の話です。

部下が作った資料を確認して、直してほしいところに赤を入れて返す。そういう場面は、今もあります。

急いでいるときは修正案まで書きますが、基本は本人に考えてもらう返し方です。

開いて、少し驚きました

ある日、返した資料が戻ってきました。開いて、少し驚きました。

赤を入れたところが、全部そのとおりに直っていました。

例として書いた言い回しが、そのまま資料に入っていました。

例のつもりで添えた言葉です。本人の言葉ではないので、その箇所だけ、周りの文章と少しチグハグに見えました。

「こうした方が分かりやすい」くらいのつもりで入れた直しも、そのまま反映されていて、資料全体のバランスが崩れているところもありました。

ナギ
あ、そこは例のつもりだったんだけどな……。

ナギ

読み返して、引っかかりました。そこまで直してほしかったわけではなかった。

でも、赤を入れたのは僕です。こちらにとっては案でも、受け取る側には指示に見えていた。

そう気づくまでに、少し時間がかかりました。

自分の赤を、振り返ってみた

振り返ってみると、僕が入れていた赤には、中身の違うものが混ざっていました。

数字が違う。結論と根拠がつながっていない。説明に必要な情報が抜けている。

これは、直してもらわないと資料として成立しない赤です。

直さなくても、内容は伝わる赤

一方で、結論をもう少し前に置く。説明をもう一段細かくする。この言い回しの方が伝わる。

これは、直さなくても内容は伝わる赤です。より良くするための赤で、僕の好みに近いものもあります。

ポイント:僕の赤には、中身の違うものが混ざっていた

  • 直してもらわないと、資料として成立しない赤
  • 直さなくても、内容は伝わる赤

僕の中では、前者をMust、後者をWantと分けています。頭の中では、分かれていました。

でも、資料の上ではどちらも同じ赤でした。同じ色、同じ調子で書き込んでいました。

僕の赤は、一色でした。中身は、二色だったのに。

若い頃の僕は、上司の赤を全部直していました

少なくとも若い頃の僕は、上司から修正をもらえば、基本的に全部直していました。「これは直さなくてもいい」と自分で選ぶ発想は、あまりありませんでした。

勝手に残す勇気は、僕にはなかった。残して、出来ない奴だと思われる方が怖かった。

ナギ
若い頃の僕なら、迷わず全部直してます。上司の赤を残す勇気なんて、ありませんでした。

ナギ

そう考えると、僕の赤が全部直って返ってきても、不思議ではありませんでした。僕は、自分がそうだったことを忘れて、同じ強さの赤を渡していました。

指示を出す前の話は、前に書きました。今回は、戻ってきた資料に僕が入れる赤の話です。

赤には、直してもらう以外の用事もある

ここまで書いてきた「二色」は、修正案についての話です。赤には、それとは別に、質問やアドバイスとして書くものもあります。

資料から僕が読み取れなかったことは、質問の形で書きます。その場合は、個別に説明してもらいます。

今後のためのアドバイスを書くこともあります。これは、会話を始めるための書き込みです。

ポイント:直してもらうため以外の赤

  • 読み取れなかったことは、質問の形で書く
  • 今後のためのアドバイスは、会話を始めるための書き込み

ただ、修正案まで具体的に書いた赤は、そのまま直って返ってくることがほとんどです。だから今は、修正なのか、質問なのか、こちらの意図が分かるように返しています。

いまは、赤の強さが伝わる書き方にしています

修正の赤を返すとき、いまは二つの強さを分けて書いています。

必ず直してほしい赤は、言い切ります。曖昧にしません。

よりよくするための赤には、「Want」と書き添える

よりよくするための赤は、赤の横に「Want」とだけ書き添えます。今回は必ず直さなくてよい、次の資料から意識してほしい、という意味です。

何も書いていない赤は、必ず直してほしい赤です。印をつけるのは、Want側だけです。

赤の数を、減らしたわけではありません

分けたからといって、赤の数を減らしたわけではありません。Wantにも、伝える値打ちはあります。

経験から、より伝わる形を提案できることはある。足りなかったのは、Mustと見分けのつく書き方でした。

変えていないのは、直す基準です

もう一つ、変えていないことがあります。直す基準です。

毎回基準が変わると、「気分で言うことが変わる上司」に見える。僕自身、前回と今回で基準が変われば、相手は戸惑うと思っています。

基準はそのまま、書き方だけを変えました。

ナギ
相手と時間によって、どこまで書くかは変えています。

ナギ

どこまで答えを示すかは、相手の経験に合わせて変えています。まだ自分だけでは考えきれない人には、修正案まで書きます。

急いでいるときも、修正案まで示します。相手と時間に合わせて、何をどこまで返すかを調整する。

それも、赤の仕事のうちだと思っています。

🖍 修正として返す赤は、二つに分けています

  • 必ず直してほしい赤(Must)は、言い切る
  • よりよくするための赤(Want)は、横に「Want」と書き添える

まとめ|赤の数より、赤の強さ

減らすべきだったのは、赤の数ではありませんでした。分けずに渡していた、赤の強さでした。

若い頃の僕なら、どの赤も同じように「直すもの」と受け取っていました。だから、赤を減らすより先に、その意味が分かるようにしました。

基準は変えず、修正の赤だけは、強さが分かるようにしました。

※この記事は、一人の管理職の一次体験です。資料の種類・時期・相手は、個人や会社が分からない形に整えています。「Must」「Want」は僕の分け方で、会社の制度ではありません。

— Calmly. Surely. —


校正という仕事には、返す線がある

僕の赤は、資料を直すための赤でした。校正という仕事を通して、「正す」と「整える」を別々の章で扱っている本があります。今回の赤を考えていて、この二つの章タイトルが目に留まりました。

※ここからはアフィリエイトリンクを含みます。

校正のこころ 増補改訂第二版 表紙
▶︎ 正すと整えるを、分けて考える

校正のこころ 増補改訂第二版 積極的受け身のすすめ

大西寿男 著(創元社)

現役の校正者が、校正という仕事の技法や姿勢について書いた一冊です。目次には「言葉を『正す』という校正」と「言葉を『整える』という校正」が、別の章として並んでいます。

  • 「正す」と「整える」を、別々の章で扱っている
  • 副題は「積極的受け身のすすめ」。直す側の構えを考えられる
Amazonで見る →

関連記事

🧭 次に読むおすすめ

この記事とテーマの近い順に選んでいます