Z世代の部下の育て方 − "伝わらない"の正体は、世代差ではなかった(40代管理職の翻訳力) −
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Z世代の部下に、伝えたつもりが、伝わっていない。
「最近の若い子は、何を考えているか分からない」。そんな言葉を、つい口にしたくなる日があります。
でも、長くZ世代の部下を育ててきて、僕の考えは少し変わりました。
Z世代だから、ではありません。受け取り方が、違うだけです。
この記事は、「若手の価値観を理解しましょう」で終わる話ではありません。理解は、大前提。その先で、伝わる形に翻訳するのが管理職の仕事だ、という話です。
📒 先に結論(この記事の3行)
- ⚖️ 問題は世代差ではなく、"受け取り方"の違い
- 🗝 必要なのは、管理職の「翻訳力」
- 👤 だから、世代でなく「個人」を見る
そして、これはあなたが我慢する話ではありません。毎回ゼロから説明し直す消耗から、自分を降ろすための技術の話です。
ナギ
Z世代の部下に「伝わらない」|戸惑いの正体は、受け取り方の違い
結論から言います。一番戸惑ったのは「叱れない」ことではなく、同じ説明をしているつもりなのに、受け取り方がまるで違うことでした。
たとえば、こんなことがありました。
僕「この仕事は、こういう背景があるから大事なんだよ」
(数日後)
部下「言われた作業は、終わりました」 僕「ありがとう。その先は?」 部下「え? そこまで考える仕事だったんですか?」
背景も目的も込めて伝えたつもりが、相手には”作業手順”としてしか届いていなかったのです。応用してくれると期待していたのに、言われたことだけが、きっちり終わっている。
逆もありました。こちらが「これは当然わかっているだろう」と思っていたことが、まったく共有されておらず、「そんな話、聞いていません」と返ってくる。
最初は、正直「なんで伝わらないんだろう」と思っていました。
でも、今は少し考え方が変わりました。
伝わらないのではなく、受け取り方が違うだけ。
若手の部下
彼らの能力が低いわけでも、やる気がないわけでもありません。ただ、こちらの言葉が、相手の受け取れる形になっていなかった。それだけのことでした。
原因は「世代差」だと思っていた|Z世代というラベルを外す
結論です。最初は「世代が違うから」と片づけていました。でも、それは原因ではありませんでした。
僕が空回りしていた一番の理由は、「背中を見て学ぶよね」という前提でした。自分はそうやって育ってきた。だから、ある程度は見て覚えるものだと、無意識に思っていたんです。
ここで、誤解してほしくないことがあります。
背中を見て学ぶ文化が、悪かったとは思っていません。実際、僕自身もそこで育ち、多くを得ました。ただ、今の若手には、別の翻訳が必要だった。それだけのことです。古いやり方を否定したいのではなく、相手に合わせて翻訳の仕方を足す、という話です。
若い世代は、能力が低いのではなく、「なぜそれをやるのか」を知りたい。理由が分かると、動ける。逆に理由が見えないと、行動の優先順位が上がらない。ここは、はっきり自分のアップデート不足でした。
転機は、ある日ふと、「Z世代」というラベルを外したことでした。
以前、年上の部下について書いたとき、僕は「年齢ではなく、経験を見る」と言っていました。なのに、若手に対しては「Z世代だから」と、世代でひとくくりに見ていた。これは、矛盾しています。
ラベルを外してみると、景色が変わりました。同じ20代でも、まるで違うんです。すぐ手を挙げる積極的な人もいれば、じっくり確かめてから動く慎重な人もいる。自分が見てきた範囲では、世代の違いよりも、その人ごとの違いのほうが、ずっと大きかった。
必要だったのは管理職の「翻訳力」|Z世代部下への言い回しとNG
ここが、この記事で一番伝えたいところです。世代でなく個人を見るために必要だったのは、管理職の「翻訳力」でした。
先に、大事なことを言います。翻訳は、我慢でも、機嫌取りでもありません。
翻訳とは、毎回ゼロから説明し直す消耗から、自分を降ろす技術です。
一度、相手に届く形を見つけてしまえば、こちらがラクになる。これは、部下のためであると同時に、自分のための投資です。
そして、もう一つ。これは、どちらが上か下かの話ではありません。
ただ、経験値や、社会の当たり前を知っている量が多いのは、管理職のほうです。だからこそ、アジャストできるレンジが広い側が、翻訳する。
経験量が多いのは、偉いからではありません。翻訳する責任がある、ということです。
具体的には、こういう”翻訳”です。日々の言葉を、少し置き換えるだけで、驚くほど伝わり方が変わります。
| そのまま言うと | こう翻訳する |
|---|---|
| とりあえず、やってみて | まず、ここまで試してみて |
| 背中を見て覚えて | 先に、目的を共有するね |
| なんで、できないの? | どこで、止まった? |
| まず、自分で考えて | 一緒に、考えようか |
| 常識でしょ | 背景を、説明するね |
1on1でも、同じです。明日から使える言い回しを、場面ごとにまとめておきます。
🗝 Z世代の部下に効く1on1の言い回し
- 指示を出すとき:「これは◯◯のためにやる。だから、ここを優先で」(理由と優先順位をセットで)
- 「聞いていません」が起きたとき:「どこまで共有できてたか、確認させて」(責任を相手でなく、伝達に置く)
- 考えを言わないとき:「正解を聞きたいんじゃなくて、君がどう感じたか聞きたい」(評価でなく、安全を渡す)
- 「なぜですか?」と聞かれたとき:「いい質問。理由はね…」(反抗でなく、確認として受ける)
逆に、やってはいけないのは、こういう言葉です。どれも、つい出がちなので注意が必要です。
⚠️ つい言いがちな、Z世代部下へのNG
- ❌「背中を見て覚えて」(翻訳を放棄している)
- ❌「いいから、やって」(理由を消すと、動けなくなる)
- ❌「常識でしょ」(その"常識"は、まだ共有されていない)
「すぐ辞める」も、辞めたいのではなく
「翻訳しても、どうせすぐ辞めるんでしょう」。そう思う方もいるかもしれません。
でも、ここにも翻訳の話が効いてきます。辞めるのは、辞めたいからではなく、「ここに留まる理由」が、まだ翻訳されていないだけのことが多いんです。
実際、ある調査では、Z世代の若手社会人の約7割が、「上司の言い方や伝え方が改善されていれば、退職を思いとどまった可能性が高い」と答えています。給料でも待遇でもなく、伝え方。翻訳が、人を引き留めることもあるのです。
もちろん、全員がそうではありません。それでも、「伝え方」で結果が変わる余地は、想像以上に大きいのだと思います。
なお、指導そのものが怖くなってしまった方は、逆パワハラが怖くて指導できないという話も、あわせて読んでみてください。また、部下が不安を先回りするタイプなら、エニアグラム タイプ6の取扱説明書が、個人を見るヒントになります。(ちなみに、上司への”上向きの翻訳”は「いい感じにやって」を翻訳する話に書きました。今回はその下向き版です。)
だから、世代でなく「個人」を見る|すぐ辞めるを防ぐ関わり方
結論です。翻訳力を磨いていくと、不思議と、世代でなく「個人」が見えてくるようになります。
相手に届く言葉を探す過程で、自然と一人ひとりをよく見るようになるからです。同じ20代でも、積極的な人、慎重な人、じっくり考える人。世代でくくっていたら、その違いは、永遠に見えません。
そして、Z世代の部下からは、僕のほうが学んだことも多いんです。
特に学んだのは、「目的から考える癖」でした。僕たちの世代は「まずやってみよう、走りながら考えよう」が強かった。でも若い世代は、「それは、何のためですか?」を自然に聞きます。最初は、正直、面倒だと思ったこともありました。でも、その問いのおかげで、自分自身が目的を再確認できたことが、何度もありました。
昔は「なんで、そんなことを聞くんだろう」と思っていた質問が、今では「いい視点だな」と思えることも増えました。昔なら「反抗」に見えた問いが、今は「確認」に見える。この変化は、自分にとっても大きな収穫でした。
世代は、履歴書に書いてあります。個性は、会話の中にあります。
ここで、ひとつだけ。部下を翻訳する前に、一度、自分自身を翻訳してみるのもおすすめです。自分の経験が、今の市場でどう評価されるのか。社外の物差しで自分を眺めてみると、肩の力が抜けて、部下にも余裕を持って向き合えるようになります。転職するためではなく、自分を客観視するために(40代管理職の転職エージェント比較もどうぞ)。
まとめ|伝わらないのではない。まだ翻訳できていないだけ
整理します。
Z世代の部下に伝わらないのは、世代が変わったからではありません。受け取り方が違うだけ。そして、経験量の多い管理職側が、相手の受け取れる形に翻訳する。それだけで、関係は驚くほど変わります。
✅ この記事のまとめ
- 問題は世代差でなく、受け取り方の違い
- 必要なのは、管理職の翻訳力(経験を、受け取れる形に置き換える)
- 経験量が多い=偉いでなく、翻訳する責任がある
- 翻訳力を磨くと、世代でなく個人が見えてくる
そして、最後に。年上の部下も、年下の部下も、結局たどり着く答えは同じでした。管理職は、一番偉い人ではなく、一番学ぶ人。世代の壁を越えて学び合えるチームは、必ず作れます。
伝わらないのではありません。まだ翻訳できていないだけです。
ナギ
— Calmly. Surely. —
関連記事|世代を越えて、人を理解する
📖 参考書籍|「伝える」と「1on1」を学び直す
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- 本記事「世代でなく個人を見る」の実装編
そして、部下を翻訳する前に、まず"自分"を社外の物差しで翻訳してみたくなったら、転職サイトを"健康診断"として使う手もあります。今すぐ転職する必要はありません。自分の経験が市場でどう見えるかを知るだけで、部下にも余裕を持って向き合えるようになります。
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