Z世代の部下の育て方 "伝わらない"の正体は、世代差ではなかった(40代管理職の翻訳力)

(更新: ) 著者: ナギ
#管理職 #Z世代 #部下育成 #40代管理職 #若手育成 #1on1 #関係性マネジメント #翻訳力
この記事は約 11分 で読めます

※本記事にはプロモーション(アフィリエイトリンク)が含まれます。紹介する商品・サービスは、運営者が実際に利用または検討した上で価値があると判断したもののみを取り上げています。

Z世代の部下の育て方|伝わらないの正体は世代差ではなく管理職の翻訳力

Z世代の部下に、伝えたつもりが、伝わっていない。

「最近の若い子は、何を考えているか分からない」。そんな言葉を、つい口にしたくなる日があります。

でも、長くZ世代の部下を育ててきて、僕の考えは少し変わりました。

Z世代だから、ではありません。受け取り方が、違うだけです。

この記事は、「若手の価値観を理解しましょう」で終わる話ではありません。理解は、大前提。その先で、伝わる形に翻訳するのが管理職の仕事だ、という話です。

📒 先に結論(この記事の3行)

  • ⚖️ 問題は世代差ではなく、"受け取り方"の違い
  • 🗝 必要なのは、管理職の「翻訳力」
  • 👤 だから、世代でなく「個人」を見る

そして、これはあなたが我慢する話ではありません。毎回ゼロから説明し直す消耗から、自分を降ろすための技術の話です。

ナギ
今日は「Z世代の部下に、どう伝えるか」の話です。結論から言うと、世代が変わったのではありません。受け取り方が違うだけ。だから、伝える側が翻訳する。それだけです。

ナギ

Z世代の部下に「伝わらない」|戸惑いの正体は、受け取り方の違い

結論から言います。一番戸惑ったのは「叱れない」ことではなく、同じ説明をしているつもりなのに、受け取り方がまるで違うことでした。

たとえば、こんなことがありました。

僕「この仕事は、こういう背景があるから大事なんだよ」

(数日後)

部下「言われた作業は、終わりました」 僕「ありがとう。その先は?」 部下「え? そこまで考える仕事だったんですか?」

背景も目的も込めて伝えたつもりが、相手には”作業手順”としてしか届いていなかったのです。応用してくれると期待していたのに、言われたことだけが、きっちり終わっている。

逆もありました。こちらが「これは当然わかっているだろう」と思っていたことが、まったく共有されておらず、「そんな話、聞いていません」と返ってくる。

最初は、正直「なんで伝わらないんだろう」と思っていました。

でも、今は少し考え方が変わりました。

伝わらないのではなく、受け取り方が違うだけ。

受け取り方の違い|同じ説明でも上司の意図と部下の受け取りがズレる
図1:同じ説明をしても、受け取り方は違う。「伝えたつもり」と「伝わったこと」は、別物。
若手の部下
言われた通りには、ちゃんとやったんですけど…。え、そこまで考えるところだったんですか? 先に言ってもらえたら…。

若手の部下

彼らの能力が低いわけでも、やる気がないわけでもありません。ただ、こちらの言葉が、相手の受け取れる形になっていなかった。それだけのことでした。

原因は「世代差」だと思っていた|Z世代というラベルを外す

結論です。最初は「世代が違うから」と片づけていました。でも、それは原因ではありませんでした。

僕が空回りしていた一番の理由は、「背中を見て学ぶよね」という前提でした。自分はそうやって育ってきた。だから、ある程度は見て覚えるものだと、無意識に思っていたんです。

ここで、誤解してほしくないことがあります。

背中を見て学ぶ文化が、悪かったとは思っていません。実際、僕自身もそこで育ち、多くを得ました。ただ、今の若手には、別の翻訳が必要だった。それだけのことです。古いやり方を否定したいのではなく、相手に合わせて翻訳の仕方を足す、という話です。

若い世代は、能力が低いのではなく、「なぜそれをやるのか」を知りたい。理由が分かると、動ける。逆に理由が見えないと、行動の優先順位が上がらない。ここは、はっきり自分のアップデート不足でした。

転機は、ある日ふと、「Z世代」というラベルを外したことでした。

以前、年上の部下について書いたとき、僕は「年齢ではなく、経験を見る」と言っていました。なのに、若手に対しては「Z世代だから」と、世代でひとくくりに見ていた。これは、矛盾しています。

ラベルを外してみると、景色が変わりました。同じ20代でも、まるで違うんです。すぐ手を挙げる積極的な人もいれば、じっくり確かめてから動く慎重な人もいる。自分が見てきた範囲では、世代の違いよりも、その人ごとの違いのほうが、ずっと大きかった。

必要だったのは管理職の「翻訳力」|Z世代部下への言い回しとNG

ここが、この記事で一番伝えたいところです。世代でなく個人を見るために必要だったのは、管理職の「翻訳力」でした。

先に、大事なことを言います。翻訳は、我慢でも、機嫌取りでもありません。

翻訳とは、毎回ゼロから説明し直す消耗から、自分を降ろす技術です。

一度、相手に届く形を見つけてしまえば、こちらがラクになる。これは、部下のためであると同時に、自分のための投資です。

そして、もう一つ。これは、どちらが上か下かの話ではありません。

ただ、経験値や、社会の当たり前を知っている量が多いのは、管理職のほうです。だからこそ、アジャストできるレンジが広い側が、翻訳する。

経験量が多いのは、偉いからではありません。翻訳する責任がある、ということです。

具体的には、こういう”翻訳”です。日々の言葉を、少し置き換えるだけで、驚くほど伝わり方が変わります。

そのまま言うとこう翻訳する
とりあえず、やってみてまず、ここまで試してみて
背中を見て覚えて先に、目的を共有するね
なんで、できないの?どこで、止まった?
まず、自分で考えて一緒に、考えようか
常識でしょ背景を、説明するね
管理職の翻訳力|経験や社会の当たり前を、相手が受け取れる形に翻訳する
図2:管理職の翻訳力。経験や"当たり前"を、理由・目的つきで、相手が受け取れる言葉に置き換える。

1on1でも、同じです。明日から使える言い回しを、場面ごとにまとめておきます。

🗝 Z世代の部下に効く1on1の言い回し

  • 指示を出すとき:「これは◯◯のためにやる。だから、ここを優先で」(理由と優先順位をセットで)
  • 「聞いていません」が起きたとき:「どこまで共有できてたか、確認させて」(責任を相手でなく、伝達に置く)
  • 考えを言わないとき:「正解を聞きたいんじゃなくて、君がどう感じたか聞きたい」(評価でなく、安全を渡す)
  • 「なぜですか?」と聞かれたとき:「いい質問。理由はね…」(反抗でなく、確認として受ける)

逆に、やってはいけないのは、こういう言葉です。どれも、つい出がちなので注意が必要です。

⚠️ つい言いがちな、Z世代部下へのNG

  • ❌「背中を見て覚えて」(翻訳を放棄している)
  • ❌「いいから、やって」(理由を消すと、動けなくなる)
  • ❌「常識でしょ」(その"常識"は、まだ共有されていない)

「すぐ辞める」も、辞めたいのではなく

「翻訳しても、どうせすぐ辞めるんでしょう」。そう思う方もいるかもしれません。

でも、ここにも翻訳の話が効いてきます。辞めるのは、辞めたいからではなく、「ここに留まる理由」が、まだ翻訳されていないだけのことが多いんです。

実際、ある調査では、Z世代の若手社会人の約7割が、「上司の言い方や伝え方が改善されていれば、退職を思いとどまった可能性が高い」と答えています。給料でも待遇でもなく、伝え方。翻訳が、人を引き留めることもあるのです。

もちろん、全員がそうではありません。それでも、「伝え方」で結果が変わる余地は、想像以上に大きいのだと思います。

なお、指導そのものが怖くなってしまった方は、逆パワハラが怖くて指導できないという話も、あわせて読んでみてください。また、部下が不安を先回りするタイプなら、エニアグラム タイプ6の取扱説明書が、個人を見るヒントになります。(ちなみに、上司への”上向きの翻訳”は「いい感じにやって」を翻訳する話に書きました。今回はその下向き版です。)

だから、世代でなく「個人」を見る|すぐ辞めるを防ぐ関わり方

結論です。翻訳力を磨いていくと、不思議と、世代でなく「個人」が見えてくるようになります。

相手に届く言葉を探す過程で、自然と一人ひとりをよく見るようになるからです。同じ20代でも、積極的な人、慎重な人、じっくり考える人。世代でくくっていたら、その違いは、永遠に見えません。

世代でひとくくり vs 個人を見る|同じ20代でも積極的な人も慎重な人もいる
図3:世代でひとくくりにすると、個性は見えない。同じ20代でも、一人ひとり違う。

そして、Z世代の部下からは、僕のほうが学んだことも多いんです。

特に学んだのは、「目的から考える癖」でした。僕たちの世代は「まずやってみよう、走りながら考えよう」が強かった。でも若い世代は、「それは、何のためですか?」を自然に聞きます。最初は、正直、面倒だと思ったこともありました。でも、その問いのおかげで、自分自身が目的を再確認できたことが、何度もありました。

昔は「なんで、そんなことを聞くんだろう」と思っていた質問が、今では「いい視点だな」と思えることも増えました。昔なら「反抗」に見えた問いが、今は「確認」に見える。この変化は、自分にとっても大きな収穫でした。

世代は、履歴書に書いてあります。個性は、会話の中にあります。

ここで、ひとつだけ。部下を翻訳する前に、一度、自分自身を翻訳してみるのもおすすめです。自分の経験が、今の市場でどう評価されるのか。社外の物差しで自分を眺めてみると、肩の力が抜けて、部下にも余裕を持って向き合えるようになります。転職するためではなく、自分を客観視するために(40代管理職の転職エージェント比較もどうぞ)。

まとめ|伝わらないのではない。まだ翻訳できていないだけ

整理します。

Z世代の部下に伝わらないのは、世代が変わったからではありません。受け取り方が違うだけ。そして、経験量の多い管理職側が、相手の受け取れる形に翻訳する。それだけで、関係は驚くほど変わります。

✅ この記事のまとめ

  • 問題は世代差でなく、受け取り方の違い
  • 必要なのは、管理職の翻訳力(経験を、受け取れる形に置き換える)
  • 経験量が多い=偉いでなく、翻訳する責任がある
  • 翻訳力を磨くと、世代でなく個人が見えてくる

そして、最後に。年上の部下も、年下の部下も、結局たどり着く答えは同じでした。管理職は、一番偉い人ではなく、一番学ぶ人。世代の壁を越えて学び合えるチームは、必ず作れます。

伝わらないのではありません。まだ翻訳できていないだけです。

ナギ
若手が分からない、ではなく、まだ翻訳できていないだけ。そう思えると、ずいぶん気持ちが軽くなります。翻訳が一つ通じるたびに、世代の壁は、静かに低くなっていきます。

ナギ

— Calmly. Surely. —


関連記事|世代を越えて、人を理解する

📖 参考書籍|「伝える」と「1on1」を学び直す

フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 表紙
▶︎ "伝わる育成"の土台になる一冊

フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術

中原 淳 著(PHPビジネス新書)

人材育成研究の第一人者による、フィードバックの教科書。「若手がなかなか育たない」と悩む管理職に向け、情報通知と立て直しを軸に、伝え方を理論と実践で解説します。本記事の"翻訳力"を、体系立てて学べる一冊です。

  • 「耳の痛いこと」を伝える具体的な型
  • 経験や勘でなく、理論に裏打ちされた育成法
  • 1on1・面談の質が変わる
Amazonで見る →
ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法 表紙
▶︎ "個人を見る"1on1の定番

ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法

本間 浩輔 著(ダイヤモンド社)

週1回30分の「部下のための時間」で、人を育て、組織を強くする。ヤフーが全社で実践した1on1の知見をまとめた定番書。世代でくくらず、目の前の一人と向き合うための、具体的な対話の技法が詰まっています。

  • "個人を見る"を仕組みにする1on1の型
  • 経験学習を促す問いの立て方
  • 本記事「世代でなく個人を見る」の実装編
Amazonで見る →

そして、部下を翻訳する前に、まず"自分"を社外の物差しで翻訳してみたくなったら、転職サイトを"健康診断"として使う手もあります。今すぐ転職する必要はありません。自分の経験が市場でどう見えるかを知るだけで、部下にも余裕を持って向き合えるようになります。

📚 リクルートエージェント|求人数トップクラスの総合型

業界最大手の求人量で、市場の「現物」を自分の目で確かめられる総合型エージェント

  • 非公開求人を含めた業界最大級の求人数
  • 管理職経験がどんな求人で求められているかを現物で確認できる
  • 登録無料・エージェントが企業との交渉を代行
リクルートエージェント公式サイトへ →
🤝 JACリクルートメント|30〜40代ミドル・ハイクラス特化

コンサルタントが面談で、あなたの経験や強みを具体的に言語化してくれるエージェント型の老舗。自分の経験を"翻訳"してもらう体験は、部下への翻訳のヒントにもなります。登録無料。

  • 40代管理職・ミドル層の支援実績が豊富
  • "あなたの経験ならではの価値"を面談で言語化
  • 登録無料・希望すれば非公開求人も紹介
JACリクルートメント公式サイトへ →

※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。リンク経由で商品をご購入・ご登録いただくと、運営者に紹介料が支払われることがあります。価格や評価が変わるものではありません。

🧭 次に読むおすすめ

この記事とテーマの近い順に選んでいます

部下から介護の相談を受けた上司の対応|“介護の引き継ぎ書”という考え方
関係性マネジメント

「実は、親の介護が」と言われた日|言葉が出なかった40代課長と、“介護の引き継ぎ書”の話

「いい感じにやっといて」が、いちばん危ない|指示の公差を渡し忘れていた40代課長の話
関係性マネジメント

「いい感じにやっといて」が、いちばん危ない|"指示の公差"を渡し忘れていた40代課長の話

ノーと言う部下が、いちばん信用できる|従順さを手放した40代課長の話
関係性マネジメント

ノーと言う部下が、いちばん信用できる|"従順さ"を手放した40代課長の話